C12での生活も、早いもので4年目となった。今年もたくさんの新入寮生を迎え入れ、談話室は活気付き、私はまた1つ歳をとる。3年間の寮生活では、自分の未熟さと脆弱さゆえに、責任を投げ出してしまったこともあった。それでもこの場所に戻り、今も迷いながら日々を過ごしている。
迷いというのは、熊野寮の自治(※1)に対する自分自身のスタンスである。自治には「寮自治(※2)」と「ブロック(※3)自治」の2種類あるが、私が考えているのは前者。個人的には「寮自治」の基盤あってこその「ブロック自治」だという認識でいる。
談話室で共に温かい時間を過ごすC12の人々と、自治の最前線に立つブロック外の人々。どちらも大切で、かけがえの無い仲間たちだ。だからこそ2つのコミュニティ間の、自治に対する温度差に悩むことも多い。
自分を投げ打ってまで自治にコミットしたいとは思えない。でも、そこから距離をとって、安らかな日々だけを過ごすのも違うと思う。あくまでも、自分自身のスタンスとして。
人との議論は苦手で、自分語りしかできない。皆と協調するにも頭を使う。そんな私に、何ができるのだろうか。
多くの迷いを抱える中で、確かに言えることが1つある。それは、C12の仲間に、たくさん寮生活を楽しんでほしいということだ。そしてあわよくば、その「楽しさ」の定義に、自治や全寮との関わりも含まれていてほしい。
C12を、皆にとって居心地の良い場所にしていきたい。自治を頑張りたい人にも、そこから1歩離れてゆっくり過ごしたい人にも。そのために、自分にできることをやる。迷い続けることは、諦めず考え続けるという決意だ。
議論が下手なら、それ以外の場で一人ひとりと話す。自分なりの寮への想いを語る。協調性がないなら、自らの行動で示す。自治の最前線には立てないが、皆と寮の話ができる先輩にはなれる。それだって自治の前線であると、胸を張って言える日が来るだろうか。
私にとって何よりの居場所であるC12。そこにいる大切な仲間。彼らが自治に悩んだ時、私はその話に耳を傾けられる人間でありたい。彼らが自治に踏み出す時、私はその背中を強く押せる人間でありたい。
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※注釈
1 熊野寮の運営管理を、住んでいる学生たち自らが行うこと。主に意思決定のための会議や委員会、当番制の作業、コンパ・イベントの開催などを指すことが多い。
(参照) 2021年 熊野寮入寮パンフレット「自治とは何か」https://kumanoryo-pamphlet-2021.netlify.app/chapters/sections/what_is_autonomy
2 熊野寮における自治。「自治」とほぼ同義。
3 寮生活で、公共スペースや当番を共有する集団。居住区画ごとに振り分けられている。全部で9つあり、C12はそのうちの1つ。ブロック自治は、ブロック単位で行う自治(=会議、当番)のこと。