私がC12に入ることになったきっかけは、趣味の欄に「映画鑑賞」と記したことらしい。それを見て、上回生の方が自分をC12に迎え入れることを決めたと聞いている。京大から合格をいただいた当時、たいそうな趣味もなく何とか絞り出して書いた一語が、C12入寮の端緒になったとは思いもしなかった。なお、その後本当に映画が好きになった。
私は他人に対して自分のことをあまり話さなかった。これは受験生時代、自宅浪人を経験したことが尾を引いたものである。予備校に通わずに大学合格を成し遂げた成功体験と引き換えに、1年間社会とのかかわりを絶ったことで、コミュニケーション能力がどこかに行ってしまった。今では回復しているが、当時は会話に対する苦手意識が拭えないでいた。
そんな私を優しく受け入れてくれたのが、C12というブロックであった。どこか柔和な雰囲気の談話室。ふらっと立ち寄ったとき、そこにいる誰かが話を聞いてくれるし、話を聞かせてくれる。入寮してすぐ、同期の1人と一晩中語り合ったことは記憶に新しい。入学当初の一抹の不安はすぐに消え去り、C12は私の居場所になった。
談話室には数多の娯楽がある。私に新たな趣味を与えてくれたのも、この談話室だった。麻雀の様子をいつも横から眺めているだけだったのに、いつしか私もルールを覚え、頻繁に麻雀を打つようになった(いつもボコボコにされているのはここだけの話)。最近は麻雀を打つために談話室に行くことが増えた。新入寮生に、麻雀だけ打ちに来る人だと認識されていないだろうか。
私は主に3つの団体の運営に携わっている。それゆえ、談話室に顔を出すタイミングが多いとは言えず、寮自治にも積極的にかかわることができていない。新歓やブロック旅行の時期には運悪く別の予定がブッキングしていることも往々にしてある。それでも私と仲良くしてくれるC12民にはたいへん感謝している。
今となっては、思いやりと娯楽に溢れるブロック・C12で過ごす時間が、私にとって最も印象深い学生時代の思い出のひとつになる、と信じて疑わない自分がいる。それだけ、自分にとってのC12は憩いの場所なんだと思う。

