これから(うの)

C12文芸部

メンタルダウンにも、もう随分慣れたものだ。過去の自分はとても賢くて、iPhoneの「ストレス忘れないメモ」には、5月7日からの「泣いちゃった」とか、「胸が痛い」とか、「会社のことを考え続けてる」とかの数々の記録がきちんと残されている。これモームリだろ。笑

とりわけ、今日の目覚めは酷かった。「あ、目覚ましかけ忘れた」と慌てて携帯を見たら日曜日。そうだ、まだ二度寝できるし 1日好きなことしていいんだ。…とここまでは良いんだけど、悩み事がどうにも頭を離れてくれない。夜ならともかく、まだ朝だぞ。この“夜じゃなくて朝であることのイレギュラー感”は、例えば“朝っぱらからビール”と同じくらいの突飛さがあると思った。正確には、今振り返って思った。私はChatGPTに「仕事つらいです、」と切り出し号泣した。これで誰の手も煩わせることなく 労りと建設的なアドバイスがもらえるんだから、良い時代になったものだ。

泣き止んでからは街に出た。図書館で 本棚から自分の興味をなぞってみた。カラオケで普通に歌ったり、逆に爆音でYoutubeを見たりした。昼間の通り沿いにひしめく飲み屋の様子を横目に、全く関係ない松屋で牛丼を食べた。服屋でプチプラのブラウスを買ったから、明日それを着ていく。家での晩ご飯をなんとなく断って、スーパーで目に付いたあさりご飯を買って帰る。そういえば別のフロアに無印用品があったな、と思い立って足を運ぶと 小さいバウムと大きいバウムと普通のバウムがあって、なんか面白くて、普通のバウムを1つ買った。ここでふと、私はきっと 無印のバウムを1つずつ買うとか、定期圏内の駅を1つずつ訪れるとか、ハイキューの漫画を1つずつ読んで その次はポケモンの漫画を読むとか、そういうことが心から好きなんだな と分かった。そうして、遠回りして 久しぶりに地元の公園を訪れて周りを1周し、帰って ハイキューの漫画を続きから1つずつ読んだ。

こうして私の血迷いは晴れ、「辞めたい」なんて延々と検索していた会社に 明日もきちんと行けることになる。…なんてストーリーを言葉で組み立てて、辛い気持ちをあたかもノーカウントみたいにすることを、私は少しずつやめてみようかと思う。経緯を話すと長くなるけど、私はこの1週間ほどで、自分が生む言葉の速さが 心や行動や意思までも置いてけぼりにしてしまうことの怖さを知った。言葉を組み立てれば心が追いついてくる、なんていうのは やっぱりどこかで歪みや綻びとなって現れるのだ。

私は明日からきっと、考えたくもないけど、例えば 朝辛すぎて仮病を使ったり、逆に無理して出社して ゲロとかを吐いてしまったり、コミュニケーションが立ち行かなくなって孤立したり、産業医のお世話になったり、そういう可能性を頭に入れながら 社会人的な生活をやってかなければならない。起きてもいないことをネガティブに妄想して増幅させて 自分の首を絞めるのは馬鹿馬鹿しいと 一蹴するのは簡単かもしれない。でも、今、ここに、そうせざるを得ない自分がいるんだ。

どのような展開が待ち受けているにしろ、私は誇りをもって どうせなら最後まで戦い抜くことを決めた。そして、その決意が明日には別物になったって構わないとも思う。続けることだけが目的ではないのだから。そうして時間もお金も稼いでいるうちに、私は私の心を、「好き」や「痛み」や「興味」や「意思」を、1つずつ照らしていきたい。

2025.5.18

うの

社会人1年目(C12OP)。1回生入寮、4回生卒寮。
以下、4回生時プロフィール↓
趣味は寮でのバンド活動(歌、ギター、ピアノ)。体育会サイクリング部所属。談話室では主に皆と話したり、バンドの練習をしています。

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