眠れない夜のために

C12文芸部未分類

この悲しみをだれにいえばいいんですか。

心が冷えて呼吸が浅く、狭い四角の胸囲のなかに入れ込まれている。べこりと凹んだ箱のなかに。

だれかだれかだれか。

じぶんにはだれものこりはしなかったのかな。どこできりはなされちゃったのかな。

わたしひとりで生きるなんてこわいこわいことなのに。

思考がまわるそのやり方には見知ったパターンがある。

さびしい。

ゆめをみた。

わたしにとってのこわさは他のひとにとってのこわさじゃなくて、まわりはどんどんすすんでいく。

あぁ、よく思うこと。じぶんの軌跡をつねにだれかになぞっていてほしい。遠い町の夕陽、網膜にうつる景色が、たったひとりのためのものであることが、わたしにはひどくこたえるのです。わたしの目にうつる景色が、同時にあなたの目にうつる景色であればいいのに。

よるべない……。とくに冷えたこの夜においては。

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