C12というクラス(管)

季刊C12『C12』

熊野寮と学校にはたくさんの共通点がある。その観点からするとブロックの概念はクラスのそれにとても似ている。大規模なクラス替えは無く、入寮時にほぼ無作為に分けられて大体の人がそのまま退寮していく。

僕は4年前、C12というクラスに振り分けられた。入寮面接の後に案内してもらったC12談話室は、奇怪な寮への不安と暗くなり始めた時間帯もあいまって世界史の資料集に載っているアヘン窟のように映ったのを鮮明に覚えている。海の向こうの片田舎から出てきた僕にとって京都での大学生活はとても刺激的なものだったが、それを語る上で熊野寮とC12は欠かせない大きな存在となった。映画が好きな人、麻雀が嫌いな人、料理が得意な人、片付けが苦手な人、いつも何かに追われて急いでいる人、のんびり暮らしている人、北から南、はたまた海外出身の人、現役ストレートで大学に入った18歳、企業で働きながら博士号を目指す40代、多種多様な人がこのC12という箱に押し込められて暮らしている。ここが無いと出会えなかったし、仲良くなれなかったであろう人たちと、談話室で笑い合ったり意見をぶつけ合ったりして過ごす。

最初アヘン窟のように思えたこの場所からたくさんの影響を受けて今の自分が形作られている。熊野寮やC12の長い歴史のなかで自分が過ごした3年間はとても短いが、これまでこの場所で繋がれてきた、またこれから繋がれていく不思議な縁の中に少しでも自分が存在することが嬉しいし、このような帰属意識を持てるこの時間と空間を大切にしていきたい。

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